こうして茶会は初日、二日と盛況のうちに終わった。まさに予想外の大成功であった。当初、合原氏らと私は初めての大茶会で不安であった。100人も来てもらえれば、と考えていた。それが500人分の薄皮饅頭がすべて出てしまったのだ。私たちはホットするとともに大いに満足した次第である。

　今回は5日間ハノイに滞在し、幾人もの在留邦人やベトナム人と話し合っていろいろなことが知り得た。もっともホーチミンの旧南ベトナムとハノイの旧北ベトナムは性格も気性も別な民族のように異なるとのことで、ここではハノイのベトナム人について私なりに感じたことを書き記してみたい。

　まずベトナム人は根っからの親日である。そして反中国である。東南アジアはほとんど親日で、反日は中国、韓国、北朝鮮の3国だけである。ただし中国や韓国のなかにも親日家は数多く存在している。ミャンマー、インド、スリランカはもとより親日である。

　次にベトナム人は90％が仏教徒であり、儒教の精神がいまでも生きている。父母、祖父母を重んじ大切にするのは昔日の日本と同様である。勤勉で誠実な性格はここから来ていると思われる。

　第三は器用であること。日本人と同じである。初めて茶会のお運びを手伝った女子学生の器用なことに私たちはみな感心した。頭の回転が速く、理解度が高く、勤勉である。

　第四はよく茶をよく飲むこと。ベトナム人がこれほどお茶好きとは知らなかった。中国に近い山間の地方では茶を栽培し、輸出も盛んにしているという。また、茶道に似た茶芸という流派もある。私はその師匠に紹介されて半日お付き合いをし、彼のお茶をごちそうになった。中国、韓国の茶芸に似ており、日本でいえば煎茶流に近い。



＜１＞　＜２＞　＜３＞　＜４＞