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復興への思い③
  • アレバ社の美味しい儲け話
 
2013 年3 月、フランスのテレビ局ARTEは「福島から2 年」という1 時間のドキュメンタリー番組を放映した。そこで菅元首相は、長袖の白いワイシャツ姿でインタビューに応じ、福島での事故対策にあたっていた当時「東電は政府がコントロールできなかった、戦前の日本軍部と同じ組織になっている」と語っていた。政府の上に東電があり、その上にグローバル資本がある。
悲惨な福島の事故でさえ、エネルギー産業資本の利益を損なうことはなかった。原発大国フランス。アレバ社のリュック・ウルセル社長は「福島の惨事はこれからの原発産業にとってブレーキにはならない」と断言した。
しかも、「日本の原子力発電所のうち6カ所が13年末までに再稼働すると確信している。停止中の原発の3分の2の再稼働の見込みもある」(Les Echos.fr 0503/2013)と、このアレバ社長が発言したのは13年3月4日だった。日本の経済産業相が「再稼働は早ければ秋」との公式発言は4月23日だったから、ほぼその2カ月前にフランスは、われわれ日本人の頭ごなしに日本の原発再稼働の台数と期日まで、まるでフランスが決めました、と言わんばかりの報道をフランスはじめヨーロッパのメディアに流した。
 
  • 原発セールスマンに変身
 
世界のエネルギー資本を牛耳る見えない手が望むように、13年6月、原発は安倍首相の口から日本の「成長戦略」の柱の一つに位置づけられ、6月7日に来日したフランスのオランド大統領の原発セールスに応えるように、同じ日に日本の4電力事業者が6カ所の原発再稼働を申請するとの報道があった。
それはアレバ社長が語った確信を3カ月後に日本側が裏付けたことになる。原発の事業は誰かがどこかで事前に決断し、お膳立てができ、そのお囃子に乗って踊るのが日本の電力産業と政府だろう。
「フランス最古のフェッセンファイム原発を廃炉に」「原発依存を現在の75%から50%に削減」を掲げて大統領に当選したはずのオランド氏が、権力の座について1年後に早くも原発推進に舵を切った。13年春まで「エネルギー転換」と声高に唱え、国民を鼓舞していた大統領だった。もちろん脱原発という言葉を発したことはなかったが、すくなくとも前大統領サルコジ氏のような積極的推進派と違っていた。そのオランド氏を、恥も外聞もなく原発セールスマンに変身させる力があったのだ。
それは、ウラニウムを売って得る巨額の利益を減らしたくない圧力だ。なぜなら原発産業から上がる利益は、どれほど高額な予算が提案されようと工事開始から稼働までにかかる時間と不安要素を見込めば、いまだ完成しないフランスの第3世代原子炉EPR(欧州・加圧水型炉)のように赤字になる可能性だってある。
だから原子力発電所建設工事や発電から利益を得ようとするものではない。ガソリンがなかったら自動車が動かないように、ウラニウムという燃料がなければ原発は稼働しない。だから発電のための燃料、つまりウラニウムを原発の稼働期間の30年から60年も、「核燃料棒に加工して純正部品だから安心してお使いください」と、リスクなく安定して売り続けることに最大のうまみがある。
核燃料棒の工場だったら原子炉よりはるかにリスクが少なく大きな利益につながるのだ。つまり機械の販売ではなく、使用した紙で利益をあげるコピー機や、純正部品というインクで利益を上げるプリンターと同じように。
1970年代に起こったプルトニウム事故を映画化したメリル・ストリーブ主演の「シルクウッド」(1983年)を観れば、核燃料棒の製造工程がよくわかる。
70年代と現在で製造工程がそれほど進化しているとは思えない。それほどウランとプルトニウムの粉をカプセルにつめる工程には専門家を必要としないようだ。
ウラニウム鉱山を開発し、濃縮ウランを取り出し、なお燃料棒に加工しそれを売り歩くこと、それが大資本と国家の利益になる。国境を超えたこの資本の結合は、ますますその正体を見えなくさせる。
だれがどこで日本の原発再稼働を決定したのか。それは日本人に知らされることはないだろう。なにしろ、原発依存を少なくしようと声をからしていたオランド大統領を、原発セールスマンに仕立て上げるほど、グローバル資本には力があるのだ。
 
  • 近刊「モナリザの微笑と原発大国フランス」(竹原あき子著) 

            

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