私は飴細工を露店では行わず、むしろショーのように野外などで披露している。昔ながらのよい面を残しつつ、今の時代にあった新しい形でお客さんに見てもらう。

　楽しい音楽に合わせて飴を作る「飴細工ショー」は、受けがよく依頼も多い。子どもたちと一緒に歌いながら飴をこしらえる。「好きな色、好きな動物は何ですか」と問い掛けながらのパフォーマンスは、観客と親密になり、距離感も近くなってより多くの人を引きつけることができる。

　ショーが終わった後は、ひとり一人にリクエストを聞いて飴を作るが、鶴や龍、干支の動物だけでなく、写真に写っているペットを頼まれたり、お客さんの似顔飴だったりと、一応どんなリクエストにも応じている。

　時には、タランチュラ、カメレオン、小惑星探査機などというリクエストを受け、一瞬、頭の中が真っ白になってしまうことも。

　最近、あまりにも飴細工を知らない人が多いのには正直驚く。このままでは、飴細工そのものがすたれてしまうのではないかと危機感を抱くようになった。そのため、多くの人に飴細工を知ってもらおうと、カルチャースクールや子供会などで教室を開き、さらに個人レッスンも受けている。