【スぺンサー銃の威力】
会津、仙台連合軍が守る白河の戦闘に敗れ、敵は刻々、会津国境に迫って来た。
同盟軍が相次いで敗れる中、慶応4年8月23日、敵軍が会津藩の重要拠点戸ノ口原を破り、会津若松城下町まで一気に攻め込んだ。
八重は7連発のスペンサー銃を手に決死の覚悟で入城し、攻め寄せ、土佐の軍勢に銃弾を浴びせた。持参した銃弾は百発。八重の腕前からすると、狙ったら間違いなく敵兵に命中し、バタバタと撃ち倒した。
八重が守る北追手門に攻め込んだのは土佐兵である。土佐藩はここで30数人の戦死者をだしていた。スペンサー銃は元込め式、射程距離730㍍。銃の性能からすると、西出丸や北出丸に出没した敵兵は百発百中であり、八重1人にやられたといって過言ではなかった。
もしスペンサー銃を持つ狙撃手100人がいれば敵は壊滅的な打撃を受け、射程距離のそとに撤退を余儀なくされるところだった。軍備の近代化の遅れが、すべてだった。
八重の父権八は長命寺の戦いで戦死。帰っては来なかった。
籠城した婦女子は数100人、負傷兵を看護し、食事をつくり、鉄砲の弾丸を作るなどして、戦争のサポート役に徹した。これは会津戦争史に残る見事な働きだった。
9月22日、若松城はついに落城し、会津藩は降伏した。
  
 【健次郎絶賛】