【布衣(フイ)の交(なじわ)りすら尚(な)お相(あい)欺(あざむ)かず。】と、読みまして、庶民の付き合いでさえ、だましあいはしないものです、という意味です。
【布衣の交りすら尚お相欺かず。】は、【璧(ヘキ)を完(まっと)うす】べく藺相如(リンショウジョ)が秦王と対峙した時の場面での台詞です。
大王欲得璧、使人發書至趙王。
大王璧を得んと欲し、人を使わし書を発して趙王に至らしむ。
大王は璧を手に入れようとして、人を使わして趙王に書簡を寄せられました。
趙王悉召群臣議。皆曰、
趙王悉く群臣を召して議するに、皆曰はく、
趙王は全ての家臣を召して協議なさいましたが、皆言いました。
秦貪負其彊、以空言求璧。償城恐不可得。
秦は貪にして、其の強きを負(たの)み、空言を以て璧を求め、償城恐らくは得べからず、と。
秦は欲深で、強さをたのんで、口約束だけで璧を取ろうとしている。
代わりの城は恐らく手に入れることはできないだろう。
議不欲與秦璧。
議秦に璧を予ふるを欲せず。
協議は秦に璧を与えないことになりそうでしたが、
臣以為、布衣之交、尚不相欺。況大國乎。
臣、以為へらく、布衣の交はりすら、尚(な)お相(あい)欺(あざむ)かず、況(いわ)んや大國をや。
私は思いました、庶民の付き合いでさえ、だましあいはしないものです、
まして大國どうしではなおさらだ。






























