【其(そ)の復(フク)すべからざる者の爲(ため)にせば、則(すなは)ち事は敗(やぶ)るること寡(すく)なからん。】と読みまして、やり直しができない部分を念入りに行えば、滅多に失敗しない、という意味です。
出典は『韓非子』説林下です。
桓赫日、刻削之道、
桓赫(カンカク)曰く、刻削(コクサク)の道は、
桓赫が言いました、人形の顔の彫り方は、
鼻莫如大、目莫如小。
鼻は大なるに如くは莫く、目は小なるに如くは莫し。
鼻は大きいに越したことはなく、目は小さい越したことはない。
鼻大可小、小不可大也。
鼻は大なれば小にすべきも、小ならば大にすべからず。
鼻は大きければ小さくできるが、小さく彫ってしまうと大きくは出来ない。
目小可大、大不可小也。
目は小なれば大にすべきも、大ならば小にすべからず。
目は小さければ大きくできるが、大きく彫ってしまうと小さくは出来ない。
擧事亦然。
事を擧ぐるも亦た然り。
万事、ものごとを行うにも同じことが言える。
爲其不可復者也、
其の復すべからざる者の爲にせば、
やりなおしのできないことをするように慎重にしたなら、
則事寡敗矣。
則ち事は敗るること寡なからん。
物事は失敗も少ない。