【人は須(すべか)らく貴賤(キセン)各々(おのおの)分(ブン)有るを知るべし】と読みまして、人には貴賤の別があり、それぞれに守るべき分限のあることを知らねばならない、という江戸時代後期の戒めでした。
出典は『言志後録』第76条です。
人須知貴賤各有分。
人は須(すべか)らく貴賎各々分有るを知るべし。
人には貴賤の別があり、それぞれに守るべき分限のあることを知らねばならない。
貴人而模倣賤者之態。
貴人にして賤者(センシャ)の態(タイ)を模倣し、
身分の高い人が、身分の賤しい人のなす様をまねたり、
賤者而僭窃貴人之事。
賤者にして貴人の事を僭窃(センセツ)せば
賤者が身分不相応に貴人のなすことをぬすみ真似したりすると、
吾知非辱之招。
吾れ辱(はずかしめ)を之れ招くに非ずんば、
恥辱を招くか
則葘之及。
則ち葘(わざわい)に之れ及ばんことを知る。
災害を受けるかであるから、注意を要する。