白頭の翁が、わしだって若い頃は【紅顔の美少年】だったんだぞ。
初唐の詩人:劉廷芝(リュウテイシ)の『代悲白頭翁:白頭を悲しむ翁に代わる』の詩に出ている言葉です。
7言26句の詩です。9句~16句だけを紹介します。【紅顔の美少年】は、16句目です。
9 古人無復洛城東
古人 復(ま)た洛城の東に無く
昔の人は洛陽の東の春景色を再び見ることはないが、
10 今人還對落花風
今人(コンジン) 還(ま)た対す 落花の風
今の人も昔の人と同じように、花を吹き散らす風に向かい合っている。
11 年年歳歳花相似
年年歳歳 花相似たり
毎年毎年花は同じように咲くが、
12 歳歳年年人不同
歳歳年年 人同じからず
毎年毎年それを見る人は同じではない。
13 寄言全盛紅顔子
言(ゲン)を寄す 全盛の紅顔子
だから申し上げたい。今を盛りの紅顔の美少年達、
14 應憐半死白頭翁
応(まさ)に憐れむべし 半死の白頭翁
憐れんでくれたまえ、半ば死にかけている白髪の老人を。
15 此翁白頭眞可憐
此の翁白頭 真に憐れむべし
この老人の白髪頭は誠に憐れむべきだが、
16 伊昔紅顔美少年
伊(こ)れ昔 紅顔の美少年
これでも昔は紅顔の美少年だったんだぞ。