【溫(オン)良(リョウ)恭(キョウ)倹(ケン)讓(ジョウ)】と読みまして、おだやかさ、すなおさ、うやうやしさ、つつましさ、ひかえめの五つの德を言います。
出典は『論語』学而篇です。
【溫】は、温和、温柔の『温』で、おだやかなこと。
【良】は、安らかで素直なこと。
【恭】は、慎み深く、不作法でないこと。
【倹】は、倹約、つつましいこと。
【譲】は、謙遜、へりくだって、ゆずること。
子禽問於子貢曰、
子禽(シキン)、子貢(シコウ)に問うて曰わく、
弟子の子禽が先輩の子貢にたずねて言った、
夫子至於是邦也、必聞其政、
夫子(フウシ)の是の邦(くに)に至るや、必ず其の政(まつりごと)を聞く、
先生はどの国に行かれても、必ずその国から政治の相談を受けられました。
求之與、抑與之與。
之を求めたるか、抑々(そもそも)之を与(あた)えたるか。
これは先生のほうから持ち掛けたのでしょうか、それとも相手から持ち掛けられたのでしょうか。
子貢曰、夫子温良恭儉譲、以得之。
子貢曰わく、夫子は温良恭倹譲、以て之を得たり。
子貢は言いました、先生はおだやかさ、すなおさ、うやうやしさ、つつましやかで
ひかえめな人柄によって、そうした成り行きになられたのだ。
夫子之求之也、
夫子の之を求むるは、
時には先生の方から話しを持ち掛けることもあるが、
其諸異乎人之求之與。
其れ諸(こ)れ人の之を求むるに異なるか。
それは他の人がやるような要求の仕方とは全く違っていたね。