現代の寺子屋「高松山人間塾」（矢島義謙塾長）は12月4日、福島県郡山市在住の作家星亮一さんを講師に招いた研修会を本宮市の高松山観音寺で開いた。星さんは「明治を支えた〈賊軍〉の男たち」と題し、現在の福島県の置かれた状況をかつての会津藩の歴史と重ね合わせながら、ひも解いた。

星さんは、福島原発事故以降、故郷を追われた避難者の立場に思いを寄せ、会津藩の「子どもの教育が第一」とした復興への教えに学ぶべきとした。こうしたことで、「会津からは山川健次郎（会津藩士の三男として生まれ、のちに物理学者、東京帝大総長）ら優秀な人材が輩出され、今に続く会津人気質を形成している」と強調した。その上で、「今こそ新たな教育機関を立ち上げるべき」と述べ、「双葉地方の子どもたちのため、全寮制の中高一貫校の創設を考えてもいいのではないか」と提案した。さらに、「双葉地方の人たちのために実験的都市ともいえるニュータウン、ニューコミュニティーをつくろうという構想もあり、未来博跡地の須賀川リサーチガーデン（全体面積128㌶）などは絶好の場所ではないか」とした。こうした構想は郡山市の経営者団体などが提唱しているという。

歴史的な経緯を踏まえ、星さんは「福島県は正念場にあり、（賊軍の汚名を晴らしてきたように）ある意味では執念深く生きていかなければならないのではないか」と、一日も早い福島の復興を願った。
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星さんは仙台市生まれ。東北大文学部卒。新聞記者、テレビ局報道制作局長を経て、歴史作家に。東北史学会員、日本文芸家協会員。主な著書に「奥羽越列藩同盟」「新撰組と会津藩」「京都守護職」など。