人生の思いや震災体験を語り継ぐ「大人のための語りと朗読の会」が８月２５日、郡山市のミューカルがくと館で開かれた。
　今回は５回目を記念し、３人のゲストを迎えた。ブログ「８０歳万歳!」で知られる中谷久子さん（埼玉県三芳町在住）と、村上美保子さん（福島県新地町在住）の語り、それに椎名千恵子さん（福島市在住、原発いらない福島の女たち代表）の詩の朗読などがあった。
　中谷さんは、戦前から戦後の混乱期に翻弄されながらも、前向きに生きることの大切さを話した。７０歳直前からの通信制中学入学、パソコン習得など積極的な生き方を語り、「７６歳になって”語り”に出会い、本当にやりたい事に出会えた」と、あきらめないで自分らしく生きることの大切さを呼びかけた。
　震災時に新地町で旅館業を営んでいた村上美保子さんは、当時の写真を紹介しながら津波体験を語った。村上さんは「命があれば何でもできる。奇跡的に残った旅館の看板を見た時、＜これを胸に、ほこりを持って生きていこう＞と思った」と、その思いを熱く話した。命からがら逃げた時の当時の様子を話すと、目頭を押さえる人もいた。
　椎名さんは、日本各地で朗読しているオリジナルの詩を朗読し、被災地や原発への思いを伝えた。　
　会員たちによる語りや朗読もあり、ストーリーテラーの矢部みゆきさん（郡山市在住）が主題にした芥川龍之介作の「桃太郎」は意外な展開に加えて、現代に通じる人間の性（さが）を分かりやすく伝えて、来場者の関心を集めていた。
　谷川俊太郎作の「かっぱ」の手遊びを入れた紹介や、名作「あらしのよるに」の３人の朗読劇などもあった。