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復興への思い

被災地で寺子屋教育を通して・寺子屋郡山会長 富田孝志



郡山市あさかの学園大学長、国立大学法人福島大経営協議会委員。東北大工学部卒。東芝入社後、教員の道へ。あさか開成高、福島高校長などを経て、県教育長、県文化振興事業団理事長などを歴任。昭和23年生まれ。
各人が持てる力を人のために発揮する、これが社会を豊かにする原動力だと思う。リオデジャネイロオリンピックをテレビ観戦しながら我が国の選手から大いに元気と感動を貰った。子どもの時分に家庭やクラブで競技に出会い、オリンピック選手として見事な活躍を見せてくれた方々が多かった。子ども達がいつどこで自らの能力に気付くのかはまちまちだ。その機会が多いほど、後々、様々なところで活躍する人が現れる。
 私達は、郡山市教育委員会の共催を得て小学校5年生から中学校3年生までの希望者に分からないところを教える無料の自学講座、寺子屋郡山を開設している。始めて2年半を越えた。はじめのうち戸惑う子も、慣れると集中して学習するようになる。自分の新たな面に気付く。学校の授業が分かるようになった。自分から勉強するようになった。成績が良くなった。将来、このようになって人の役に立ちたいと夢を語るようになる。異学齢の子ども達が一緒に勉強するだけなのだが、互いが刺激となり真剣な学習が当たり前になる。自分で分かると面白く感じられるようだ。こうなると家庭でも学校でも自分から勉強することが苦にならない。当然、子ども達にはそれぞれ得意、不得意がある。教科にもよるが、得意な子と不得意な子の間には、場合により3年分くらいの差があるように思われる。しかし、子ども達はこれを気にしていない。評価はされないし、分からないところを自分が聞くだけだから、どの子にとっても寺子屋での勉強の主体は自分自身であり他は関係ないのだ。
 
 今、小学校では学級担任がすべての教科を教える。5年生くらいになると内容も高度になり、子ども達の理解の開きも大きくなる。教員はどの子も理解出来るようにと配慮する。しかし、一斉授業の中で全ての子に同じように理解して貰うのは難しい。そのうち子ども達は自然とクラス全体の進みに歩調を合わせる。授業は皆一緒に進むものだと受け止めるようになる。
 寺子屋郡山では勉強は子ども自らがする。子ども達が持参する教材は、学校のドリル、塾の問題、教育産業の教材、私立中の入試の過去問、全国学力テストの問題などバラバラだ。参加すると理解が進み面白くなる。さらに勉強する。この繰り返しだ。事実、最終的に、子ども達の殆どが自分から勉強するようになったと語る。事程左様に、かなり先を学ぶ子も出て来る。今の学校教育の反面が透ける。
 社会は常に変化する。少子高齢化、車社会、IT化など、今の子ども達を巡る状況は、私達の頃と様変わりしている。教育産業の年間の売上額は大変大きい。かつて、大学受験生を主な対象としていた企業は幼児教育の教材を宅配している。内容も素晴らしい。NHKのEテレはじめ各テレビ局の教育、記録や実験の番組などもとても良く作られている。また、子ども向けに算数や理科を分かり易く教えるネット講座なども増えている。子ども向けのカルチャースクールも、学習塾はじめ、音楽、美術、書道、珠算、バレエ、スポーツ、英語会話などなど、様々な分野に広がる。このような中、学校教育の基本的な在り方は学校教育制度発足の明治以来大きく変わらないまま現在に至っている。
 
 私達はこれから、身近には東日本大震災に端を発した原発事故被災からの復興、広くは宗教の違いによる民族や国の対立、自国の利益を主張する国々の存在、グローバル経済下における経済格差など、様々な厳しい現実と向き合って行かなければならない。我が国が多岐にわたる課題を乗り越え、今後も毅然として存在していくには、何と言っても人を育てることである。先への展望と確固とした信念を持ち、辛抱強く相手の話を聞き、根気強く妥協点を見出し、責任を持って決断し、人のために労を惜しまない指導者。さらに、健全な社会を持続していくのに、政治、経済、産業、環境、福祉、自然科学、文学、芸術、スポーツなど、あらゆる分野に優れた能力と思いやりの心を持った人がいることである。言うまでもなく希望は子ども達である。
 子ども達が真剣に考え、自ら為すという思いにいつどこで至るのかが鍵である。寺子屋郡山の子ども達を見ていると、この端緒は子どもの時分の学び方にあるように思われる。常に受動的で一斉に、である今の学校教育に、成長に合わせ、子どもが真に自学する時間を講じることである。加えて、子ども達が様々な事を学ぶ場が地域にあることである。今、子どもの教育を学校の枠を越えて大きく見直す時だと考える。ちなみに、国は社会教育法で、学齢児童、学齢生徒に学校外における学習やその他の活動の機会を提供すること、それらを奨励することを市町村教育委員会に求めている。地域の主体性と工夫が求められる。(2016・9・13)


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