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復興への思い

マチュピチュ村との友好都市交流 大玉村長 押山利一



 今から約100年前に一人の若者が海を渡り、地球の裏側にある南米ペルーに渡った。
 その若者の名は野内与吉さん。福島県安達郡玉井村(現・大玉村)の裕福な農家の二男として生まれた与吉さんは21歳でブラジルに渡り、その後数カ国を経て最後にペルーにたどり着いた。与吉は持ち前の器用さも手伝って様々な仕事に携わり、「7つの職を持つ男」とも称された。
 やがて彼は今のマチュピチュ村に数人の仲間と集落を形成して行くが、当時は何もないさびしい場所であったマチュピチュ村を懸命に開拓していった。
 そこに彼は水力発電やホテル建設などのいわゆるインフラを整備し、マチュピチュの発展の基礎を築き、行政官や村長を務めて村の発展に貢献した。
 以上が野内与吉さんの略歴であるが、彼の孫にあたる野内セサル良郎さんが名古屋におり、彼がマチュピチュ村からの交流のオファーを仲介してくれたことが今回の友好都市締結の大きなきっかけとなった。
 当初はマチュピチュ村から訪問団が大玉村に来ることで話が進んでいたが、諸般の事情によってそれが叶わなくなったものの、今年が好機と考え、まずは大玉村から訪問することとした。
 しかしながら、大玉村独自の費用では負担が大きいため、一般財団法人自治体国際化協会の支援を受けてマチュピチュ村との交流事業(訪問)を行うことができたのは、大玉村のような小さな自治体では非常にありがたいことであった。
 マチュピチュ村訪問については公式訪問団員6人、一般訪問団員30人の合計36人で去る10月21日から30日の10日間の日程で、ペルーを訪問したが、空路は直行便がないためアメリカのアトランタを経由してペルーの首都リマに降り立った。
 リマでは日系の国会議員ケンジ・フジモリさんや駐ペルー大使の株丹さん、ペルー外務省アジア太平洋のバスケスさんらの要人らと会談し、今後の交流についての意見を交わすことができたのは大きな収穫であった。
 24日にはマチュピチュを目指しての移動となったが、標高3,400mのクスコ通過が課題であったが、数人が体調を崩したものの何とかクスコを通過し、途中、与吉さんの墓前に花を手向け、功績をたたえて故人を偲んだ。
 25日にはマチュピチュ村に入ることができたが、前日までに交通ストライキによる道路封鎖、マチュピチュ村への鉄道が一時不通となるなどの心配ごとが勃発したが、何とかすり抜けるように行けたのは幸運でもあった。
 唯一の交通手段と言ってもよい鉄道でマチュピチュ村入りしたが、駅の出口で楽団や大勢の村民の方々による熱烈な歓迎を受け、目頭が熱くなったのは私だけではなかったようである。
 ②に続く


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