CO2排出量の削減や省エネルギーなどの環境問題に取り組んでいる郡山市の郡山女子大学が、本年度「エコ大学ランキング」の私立大学部門で見事１位を獲得した。同校関係者は「出来ることからやってみる、という姿勢を忘れずにこれからも取り組んでいきたい」と喜びを話している。

エコロジー活動に取り組む大学をランキング形式で評価する「エコ大学ランキング」が発表され、その表彰式が１２月１７日、東京ビッグサイトで行われた。私立大部門１位、総合部門３位の優秀な成績を収めた郡山女子大には、主催者側から賞状、記念トロフィーが贈られた。同女子大は１９９６（平成８）年から植樹活動に取り組み、自然エネルギーなどのエコロジー活動でも積極的に関与している。こうした環境問題に対する姿勢と活動が高い評価を受けた。
　エコ大学ランキングは、環境ＮＧＯ「エコリーグ（全国青年環境連盟）」が行っており、今回で３回目。全国の大学の環境問題に対する取り組みをアンケート形式で調査。アンケート項目は、大学でのCO2排出量やエネルギー使用料、自然エネルギーの導入状況、温室効果ガスの削減目標、これらの問題に取り組むための専門部署を設けているかなど細部にわたる。
　本年度は全国744大学法人に調査票を送り、回答のあった167大学法人のアンケート結果をポイント集計、順位を決定した。審査の結果、参加すべての大学を対象にした総合部門は１位が名古屋大、２位が岩手大、３位が郡山女子大。私立大部門では同女子大が１位を獲得した。
　同大学のエコ活動への取り組みは、１９９６年、郡山市熱海町の国有林に5千本のヒノキを植樹したのが始まり。同女子大の創始者で教育学博士の関口富左名誉学園長の「自然を凝視（みつ）めて、師としよう」という理念のもとに学園を挙げて取り組んだ。
　以来、エコ活動では過去１０年間でCO2排出量を約３０％削減したほか、学内で使う電力に太陽光発電などの自然エネルギーを活用している点が高く評価され、今回の受賞につながった。
　CO2排出量を減らすため、キャンパス内の空調設備を、水蒸気のボイラーからガスヒートポンプ形式に切り替えることでも目標を達成した。
　太陽光発電は２００９年に設置。当初の発電容量は5.25kWだったが、増設の結果、現在は計４０kWに増えた。発電容量とは、瞬間的に発電する能力。日照時間などを考慮すると、実際に発電する電力の総量は１年間に３．８万kWhになる。これは学園全体で使用する消費電力の４．１％にあたり、同校の体育館で使用する電気料金が、導入前に比べて約半分に減った。
　学生への啓もう活動では、環境問題に関する基礎的な知識や問題意識を育てるため、エコ検定の受験を推奨し、学内で受験講座を開設するなどのサポートも行っている。
　同大環境委員会事務局の緑川洋一管財部長は「教育機関として一番大事なのは、環境マインドを持った学生を育成する事」とし、「環境活動は今年やったから来年は終わりというもではない。継続するために、学生らを対象とした講演会を開くなど、工夫しながら実施している」と話す。
　今回の受賞を、「外部からの評価は励みになり、学生らのモチベーションも高まっている。今後は教育機関での見本になるような活動を行わなければ、という重圧はあるが、環境問題への対応は避けて通れない。出来ることからやってみるという姿勢を忘れずに取り組んでいきたい」と話している。

　　　　（2012・12・27）