郡山市の脳神経疾患研究所・附属総合南東北病院は4月17日、2013年度「医学健康講座」を同病院で開講した。
　病気予防と健康増進を狙いとした講座で、来年3月まで月1回の計12回開催。同病院の各専門医師が一般市民を対象にわかりやすく説明する。
　初回の講座は、理事長・総長の渡辺一夫さんが「ガン医療について」と題して講演した。
　渡辺さんは、データを用いながら低い日本のがん受診率や、がんの死亡率を下げる検診の必要性、最新機器を相次いで導入している同病院の医療体制などを独特のユーモアも交えてわかりやすく説明した。
　この中で、女性に増えている大腸がんを挙げ、肉食の洋食傾向やグルメ志向を指摘した。増えているがんの筆頭は前立腺がんで、早期発見で治る確率が高く、乳がんについては転移の可能性が高いとした。
　陽電子放射断層撮影（PET・ペット）などでの定期的な検査が重要であり、「がんは50代の中年以降に発病するケースが極めて多い」と話した。
　同病院が導入を予定している新しいがん治療「ホウ素中性子捕捉療法（BNCT）」についても説明した。
　同療法は従来の放射線治療に比べ、副作用や患者への負担が少ないのが特長。周りの正常細胞への影響も極力抑えることができる。
　2年後に臨床試験に入り、18年度の治療開始を目指している。

　医学健康講座は主に毎月木曜日に開催する。午後2時から。
　5月以降の日程と演題、講師は次の通り。
　5月15日＝「喫煙と糖尿病の意外な関連」（心臓・循環器センター長、菅野恵）▽6月20日＝「今年の夏は熱中症にならないぞ!!」（総合医療センター所長、樋口健弥）▽7月18日＝「甲状腺がん、口、鼻、咽のがんの早期発見と治療について」（アレルギー・頭頸部センター所長、今野昭義）▽8月22日＝「いまあなたは健康ですか?～健診の意義と落とし穴～」（消化器センター長、西野徳之）▽9月19日＝「大腸がんの話」（総合南東北病院院長・寺西寧）▽10月17日＝「泌尿器系がんの話題（仮題）」（腎・泌尿器センター長、橋本樹）▽11月28日＝「緩和ケアの本質とは?」（緩和ケアセンター長・半澤浩一）▽12月19日＝「骨折しないために～骨粗しょう症の治療～」（南東北医療クリニック副院長・鹿山悟）▽1月16日＝「狭心症の話」（心臓・循環器センター副センタ―長、小野正博）▽2月20日＝「大動脈瘤に対する最新の治療」（心臓血管外科科長、緑川博文）▽3月13日＝「難治がんに立ち向かう」（呼吸器疾患研究所所長・緩和ケア委員長、宮元秀昭）